先日ハーモスラボ主催のオンラインセミナーに参加しました。
(ハーモスラボとは、株式会社ビズリーチ提供の採用プラットホーム『HRMOS』の運営チームが主催している人事担当向けコミュニティ。)
実際にオンラインで採用活動を進めている企業様の事例を聞き、現状の課題点や具体的な改善策、今後の対応策について良い情報収集の場になりましたので紹介します。
1、70%以上の企業が採用をオンラインにシフト
コロナ対策としてオンラインでの採用活動は必要不可欠になってきています。
株式会社ビズリーチが企業に採用のオンライン化対応についてアンケートを行ったところ、実に71%の企業がオンライン化対応または対応を検討しているという結果が出ました。
弊社が採用支援をさせていただいてる企業様も、2月より準備を始め、3月からは完全にオンライン化(オンラインでの説明会や面接など)となりました。
オンライン化対応のためツールの検討や動作確認、採用計画の見直しに忙しい2月、3月を過ごした採用担当者さんは多くいるのではないでしょうか。
このオンラインセミナーの事前の申込は約200名あったそうです。このことからも、採用業界では今最もニーズの高い議題であり、対応しなければならない課題であることが分かります。
ここからはオンラインセミナーに登壇した企業の方たちの採用の現状とオンライン化の施策を紹介します。
2、採用オンライン化の現状と施策について
株式会社グッド・クルー 野村尚史氏
採用の現状
- コロナの状況に合わせ、採用活動はすべてオンライン化へ移行した。
- オンラインツールを使い分けて使用している。注意点として、システムをしっかり使いこなさないとパフォーマンスが下がってしまう。
オンライン化の施策に対する現状評価
【良い点】
- 心理的安全性を作れる
- 出会いの幅が拡がった
- 本音を引き出しやすい
- 時間を調整しやすい
【改善点】
- 空気感のギャップ:オンラインに慣れていない層も存在するため、空気感や熱量が伝わりづらい
- 会社の伝え方:オフラインに比べ会える人が限定してくるため社風を伝えにくい
- 自己開示の徹底
- 「会いたい」という方への対応
- 通信のトラブルの対処
【改善策】
○関係値の構築
- 関係値の構築は面接の「前」から始まっている。これはオフラインでもオンラインでも変わらない!
- 面接時はベーシングの徹底を(ベーシング:信頼関係を作るために、相手との共通点を増やして相手に示すこと)
- 候補者の価値観を大切にし、受け入れること。潜在的な想いや感情を引き出すことをポイントに密なコミュニケーションを図る。
- 声のトーンやペースを合わせること、出てきた言葉を受け取って返すことを意識し、話を深堀りしていく
○最初の接点の作り方を意識
- 最初に接点を持ってから「どう関わっていくか、それがどのような結果に繋がってくるのか」がポイントになる
○選考の「個別化」がより大事
ミマキエンジニアリング株式会社 永井洋氏
採用の現状
- 海外拠点が多いためテレビカンファレンスが通常・日常的。4年前から説明会等もオンラインで実施していたため、オンライン化に変更する点でアレルギー等はなかった
- 採用条件:B2B×メーカー×地方×理系採用=そもそも、IT活用をしないと採用目標が達成できない
オンライン化の施策に対する現状評価
【良い点】
- 自分の顔を見ながら、相手と話せること
【改善点】
- 相手のリアクションが拾いづらい(特に1対多)
- 選考においては「身なり」「所作」「雰囲気」が見えづらい
【改善策】
- オフライン、オンライン問わず結局人事の人柄
- 参加者の名前を呼んで質問をしたり、挙手をさせたりして参加している感を出す
- 説明についてポジティブな反応があったら「嬉しい&感謝の気持ち」を伝える
- 職場や企業の雰囲気が伝わる背景画像を設定する
- 候補者の面接環境をサポート
(例:面接前に「オンライン面接のお勧めの環境」をお知らせし、環境づくりをサポートする。) - 面接の構造化
⇒意図のある質問をすることを意識し、相手の返答をしっかりジャッジすることが大事。コミュニケーションの中でミスマッチの溝を埋めていく - 実際に製品を見せる
【After Coronaを見越して】
○オンラインは選考からフォローまで活用できる
- 地方企業にとっては候補者への交通にかかるコストや移動時間の削減にもなり、よりスピーディーに採用を進めることができる
○オンライン接続に不慣れな学生は一定数いる
- 夏までには慣れてスムーズになると考えられる
○オンライン面接のコモディティ化
- 売り手市場感がさらに加速する予感。学生から選ばれる企業が勝っていく
○説明会等の複数オンライン説明時、参加して「うわのそら」問題
- 緊張感の欠如は否めない・・
ベルフェイス株式会社 吉本猛氏
採用の現状
- 採用ミッション:”脱OLD採用”
- 採用計画の見直しはせず、全てオンライン化を実施(説明会~カジュアル、最終選考まで全て)
理由としては、Web商談システムを売りとしているため、オンライン採用もできると感じたから。また、カスタマーファースト(健康・安全)を第一にした
オンライン化の施策に対する現状評価
【良い点】
- 時間をより効率よく使える
- 対面よりも相手を気にせずに書類を見ながら面接、メモができる(面接官)
- オンラインなので日程調整しやすく、選考スピードもアップ
【改善点】
- 熱量が伝わりづらい
- 情報発信力を高める
【改善策】
○オンラインでの見極め
- 説明会:最低2名体制での運用で見極め
(一人は話す、一人は参加の様子、聞く姿勢などをチェック) - 面接:面接官トレーニングによる強化
(質問のバリエーション、切り口は多くあったほうがよいため、職務経歴書等をもとに、面接官同士ディスカッションをしてどんな質問をするか見極め、共有していく)
○動画・記事コンテンツの充実
- オンラインでは伝わりづらい部分もあるため、より会社の情報を発信していくことが重要(例:ホームページコンテンツを充実させる。研修レポート、新卒インタビュー、イベントの様子の記事作成など)
【懸念点】
○今後候補者とお会いした時にお互いの印象が異なる可能性があるため、次の3点は今後の対応事項として必須
- ミスマッチをなくすリファレンスチェックの仕組み化
- 入社後活躍できるためのオンボーディングプランの構築
- 入社後のミスマッチ→「評価制度」で対応
3、Q&A
セミナーでは主に以下のような質問がありましたので、そちらも紹介します。
Q1:候補者の印象や雰囲気を把握するため工夫していることは?
- パソコン越しではあるが、しっかりカメラをみて受け応えをしているか確認をする
- 周りの環境も見える範囲全て採用基準になるため、そこから雰囲気や性格などのチェックしている
- 問いかけにしっかり応えているか、質問の意図をしっかり理解しているか等を大切にチェックすることを心がけている。人となり、コミュニケーション力を確認している
- アイスブレイクは大切!徐々に相手もリラックスし、相手の雰囲気も分かってくる
- 候補者のアピール部分を受け止める
Q2、選考は、どこからどこまでをオンライン対応にしているか?
- 無理に全部をオンライン化にしなくてもよい。しかし今後オンラインとオフラインどちらも使っていくことができると、会社の財産になると思う
Q3:オンラインで候補者を評価する基準や視点は?
- オフラインの基準+α。オンライン上で見た表情をよく観察し、表情の豊かさ、身振り手振りなどを確認する
- 候補者が説明会や面接に参加する準備(ネットワークや周りの環境、ツールの使用の仕方の理解度など)ができているか確認する
4、各社セッションを聞いた感想
株式会社グッド・クルー社
- 企業がしっかり見極めができるかというよりも、企業の評価に対して候補者が納得感を得られるか?というところが重要になってくる
- 採用担当より「今までオンラインにこだわっていたが、オフラインでなければいけないというのは思い込みだった」という意見が印象的であった。確かにオフラインでもオンラインでも候補者との関係構築を作ることは同じである
- 面接にて本音を引き出すための会話の工夫や関わり方を意識したり、候補者との接点を大切にしたりすることで、オンラインでも候補者と密にコミュニケーションを作ることができるのだと思った
ミマキエンジニアリング株式会社
- 地方の企業にとっては、オンライン化は移動時間をより短縮できるため、今後活用する企業が増えていくと感じた
- 自分がこんな感じで相手に見えているんだな、とリアルタイムで見れるのは貴重。改めて『相手の顔は自分の鏡』というのを認識した
- 人事は会社のイメージであることを再確認!
- 『オススメの面接環境』を案内することは、お互いが気持ちよく面接をスタートできる良い案だと思った。画面越しに映っている相手(候補者)以外の部分も採用対象になる(生活感や面接に向けてどれくらい準備してきたかなどを把握することができる)
ベルフェイス株式会社
- 入社後の仕組み強化が必要不可欠である!
- 情報共有、発信をしっかり行い、候補者とのミスマッチを軽減する
5、まとめ
オフラインとオンラインの差は工夫次第で十分カバーができる
まず3者の話を聞いていて思ったことは、「オンライン慣れ」しているということです。
理由は、しっかりカメラを見て話すことや話す速度が聞きやすいこと、そして表情が豊かでうなずきなどの傾聴の姿勢が伝わったからです。当たり前のようですが、慣れていないとなかなか難しいです。
どの企業もオンラインとオフラインのギャップ、課題点をどのように埋めるか工夫しながら取り組んでいました。
オンラインでは、初期の接点の持ち方、面接前の情報交換や言葉でのやりとり、コミュニケーションがより重要になってきます。特に信頼関係の構築や面接の中で、候補者の深堀りをしていくことは必須です。
そのため面接の質問事項を事前に準備・共有したり、社員のオンラインによる面接慣れを促進するためにトレーニングをしたりすることは重要なポイントです。また、対策を重ねていくうちに社員全員で採用に取り組むいい機会にもなると思いました。
オフラインと比べて、オンラインは初期の惹きつけ、実物を見て触れること、空気感や熱量を感じることは難しいでしょう。しかし、3社の話を聞いていて、改善点を工夫し柔軟に対応していくことでオンラインとオフラインの差はなくなるかもしれないと感じました。
After Coronaを見越して
もちろんオンライン化することによるメリットもたくさん見つけることができました。時間を有効に使えること、日程調整がスムーズになったことにより、採用スピードがアップすることは大きなメリットです。
今後候補者も採用担当者もオンラインツールに慣れ、よりスムーズにオンライン採用が行われていくでしょう。
そうした場合、説明会・一次面接はオンライン、最終選考はオフラインなど、選考状況に応じてどちらも使用していくことによって、より良い採用活動に繋がると思います。
今後はオンラインが当たり前になったときの対応(After Corona)として、採用後のフォローやすり合わせなど、実際にリアル対面した時にミスマッチがないように準備・対応をしていかなければなりません。
今回は他企業の現状や取り組んでいる施策、今後の課題について情報交換をすることができあっという間の2時間でした。ぜひ参考にさせていただき、ブラッシュアップしていきたいです。
できるところからトライ&エラー!
その積み重ねで自社独自のオンライン化採用を確立していくことに繋がっていくと思います。
最後にお話を聞かせていただいたパネリストの皆さん、このセミナーを企画・運営していただいたハーモスラボスタッフの皆さん、貴重なお時間をありがとうございました!
ウィーバー株式会社は、「価値あるカタチに織りなす」をミッションとし、あらゆる企業と個人がユニークに活躍する「色とりどりの社会」実現を目指し、採用パートナー(採用コンサルティング・運用支援)、メディア運営支援、自社インターネットメディア企画運営の事業を展開しています。一緒に会社、組織をつくっていくメンバー、会社役員候補を大募集中です。何卒よろしくお願いいたします。